2022年度前期修了式が行われました。

人文公共学府・人文社会科学研究科学位記伝達式　山田学府長挨拶

2022.9.28

本日は、3名のみなさまが、無事、こうして学位記を手にすることができ、たいへん喜ばしいことだと思います。誠におめでとうございます。学位記というのは、出発点に過ぎないのかもしれませんけれども、学位請求論文を書き上げるということは、おそらく大変な努力が必要だろうと思います。多くの時間を費やし、そのために時には様々なものを犠牲にしながら研究に打ち込むという時間を経過しなければ、学位論文というものは決して書き上げられないだろうと私は思っています。ですので、今、3名の方がこういった形で、それぞれ異なった背景をお持ちになり、異なった形で研究テーマを深められて、そして、見事に研究の成果をお示しになっているということに、私は深い感銘を受けております。

人文社会科学の学問というのは、時として、しばしば社会の現実から遊離しているのではないかとういうようなそしりを受ける場合もあります。しかしながら、私は、人間というものの心性・文化・振る舞い・そして人間の作る社会、そういうものを根底的に考えようとする人文社会科学こそ、これからの社会にとって、最も有用な学問であると信じています。ただし、それは人間と人間の社会というものを根源的に考えようとする志向性を持つがゆえに、おそらく皆さんの日常生活とは時にある種の断絶を発生させるかもしれません。一方では、日常生活を普段通りに送りながら、そして時に論文のために、徹底的に、人間に関する原理的・原則的な思惟を深めるという行為を繰り返さなければなりません。その往還というものは決して容易なものではないのですが、しかし、皆さんはそれを乗り越えて今、こうした大きな達成を成し遂げられました。私は人文公共学府長として皆さまの努力を誇りに思い、心から祝福したいと思います。本日は本当におめでとうございます。